マリコが家に来てひと月経った頃のことだった。
翔太が深夜に目覚めると微かに階下から物音がする。
時計を見ると2時を過ぎていた。しばらくすると女の低いうめき声が
ゴトゴトというこもった音に混ざって聞こえた。ぼんやりと寝ぼけた頭で
これは何だろうかと思っているうちに、マリコと父親がセックスをしている
のだと気づいたとたん、意識が急に研ぎ澄まされたように翔太は感じた。
それまで父親が再婚相手の若い妻とセックスを営んでいることは察してはいたが、
いざ現実に直面すると何か心の中で波立つものを感じるのだった。
このまま布団を被って寝ようかとも思ったが、翔太は衝動が抑えきれず
ベッドから起き上がると物音をたてぬようにゆっくりと部屋を出た。
階段を降りるにつれて性の営みの音は大きくなった。
廊下を進み夫婦の寝室にたどり着くと翔太は寝室の戸に耳をあてた。
うっ、うっ、うっ、というマリコのからだの奥から出てくるような
低いうめき声がはっきりと聞こえた。翔太は引き戸になっている
寝室の戸をゆっくりと少しだけ開けた。目を隙間にあてると
暗闇の中、父親に覆いかぶされ腰を打ち付けられているマリコの姿があった。
灯りと言えば消されたテレビの赤いLEDが放つ光だけだった。
二人は一塊の黒いシルエットになって細部は見えないが、動いているのは
よくわかた。しだいに暗闇に目が馴れてくると、マリコの両脚が父親の
後ろで交差して、しかっりと腰同士が密着しているのが分かった。
マリコが、いい、いいよ、と快感を顕わにすると、翔太は胸が苦しくなて
自分の部屋に引き返した。その夜はあまりよく寝られず朝を迎えた。
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