妻が仕事に向かってから私は仕事場へと車を走らせた。運転しながら頭の中で考えていたことは妻のことよりも彼女のことだった。なぜ、彼女の方が頭の中に出てきたのか私の中では簡単明瞭であった。それほど、私の心の中での彼女の存在が私にとってはなくてはならない大切な存在の人だったからであった。だが、そんな彼女からのメールは未だ来なかった。
仕事場に着いた私は普段通り仕事をしているつもりであっても、普段なら決してしないようなミスを連発した。上司からも「体調でも悪いのか?お前はこの会社にとってなくてはならない人材なんだから無理するなよ。お前が1週間ほど休んだところで困ることはないが、お前がこの会社からいなくなるのはかなりの痛手だ。少々休んでも構わないから、万全の体調になってから仕事をするのでもいいんだぞ。」と言われました。
「あっ、いえ。体調はいいのですが、少し悩み事がありまして…」
「そうなのか?もしかして奥さんのことか?それなら今晩どうだ?」
上司の藤田はコップを持って飲むようなジェスチャーをして私に気を遣ってくれました。
「そうですね。私もちょうど暇なので一緒に行かせて下さい。」
「わかった。では、17時までに仕事を終わらせて男同士で飲みに行こうじゃないか?」
そんな会話を聞いていた新入社員の早織が、「いいなぁ、私も暇なんですよぉ。藤田さーん、私も連れてってくださいよぉ。」と二人の会話の中を割って入ってきました。
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