しばらく返事を待ったが、彼女からの返事を待っても連絡が来ることはなかった。悔しさと悲しさが私の心に襲いかかってきた。私は彼女との出会いは突発的な事故だったのだと思うようにいつしかなっていた。彼女のことは私にとって一番心配することであったが、それに次いで妻の「あきら」という発言に対しても不安を抱かざるを得なかった。私は普段と変わらない様子、いやむしろ妻に気持ちを向けて妻の様子を深く観察していこうとさえ思うようになった。
妻が朝目を覚まして2階から降りてきた時いつもとは違う雰囲気が感じられた。
「あなた、おはよう」
朝は機嫌が悪く仕事に行くためにバタバタと化粧をしたり、支度をしたりする妻がいつもよりも30分早く起きてきた。
「あなた、もしかして私が寝てる時にした?」
「あぁ、お前の寝顔があまりにも可愛かったから、つい寝込みを襲ってしまった。」
「あっそう。」
会話はこれで終わったのだが、妻が仕事に出かける前に「私寝言で変なこと言わなかった?」と私に向かって聞いてきた。
「変なこととは?」
「いえ、何もないわ…」
しばしの沈黙の後、妻は「あなたは何も聞かないのね?」と意味深長な発言をしてきた。
「えっ?」
「気づいたんでしょ?私のあそこがパイパンになってるの。それを知っても何も思わないの?私はあなたにとってどんな存在なの?」
私は妻のことを愛しているようで、愛していないことが妻の言葉から感じられた。
「別に毛がなくなったといっても髪の毛を切ったのと変わりないんじゃないか?」
「そう…わかったわ。あなたは全然女心がわかってないのね。今日も遅くなるから…。それに晩御飯はいらないから適当に済ませて先に寝ておいて。それじゃあ行ってくるね。」
妻のどこか寂しげな表情が私の脳裏から離れなかった。
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