田舎には似つかわしくない最新の技術を駆使して作られた建物の前に着いた。車を駐車場に停めると子どもたちを車から降ろして建物の中に入っていった。
「こらこら、廊下は走っちゃダメだよ。」
「だってぇ、ここ広いんだもん。」
「他の人とぶつかっても行けないからゆっくり歩きなよ。」
「はーい…」
こんな当たり前の会話が出来ることに私は喜びを隠しきれなかった。
「お父さん、ここだね」
私は重たいスライド扉に手をかけて子どもたちと一緒に扉を開けた。
「迎えにきたよ。」
「ありがとう。」
事故後隣町の市民病院に搬送されていた彼女だったが、一命は取り留めたものの、意識は回復しないままであった。私は日本中を駆け巡り彼女の状態が少しでも改善できる医者を探した。それがこの北海道の地であった。
「ともひささん、ありがとう。」
「いや、私のゆきが生きていてくれたことが本当に嬉しかった。愛してるよ、ゆき。改めて言います。私と結婚しよう。」
「はい。よろしくお願いします。」
子どもたちが見守る中私たちは晴れて夫婦になる誓いを述べた。
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