「じゃあ俺はこれで帰るからな?」
そう彼が呟いたのと同時に、握りしめていた拳を大きく振りかざして彼の顔面目掛けてストレートをお見舞いしてやろうと思った。だが、物陰から何人もの人たちが飛び出してきて私を羽交い締めにして彼を殴るのを止めようとしてきた。
そして、残りの人たちは彼を取り押さえていた。
「寺沢あきら。婦女暴行の罪で逮捕する。」
私はここに来る前に警察に事情を全て話していた。私は寺沢の口からどうしても本当のことを言わせたかった。それを証拠として提出するには私だけが寺沢の話を聞くだけでは心許なかったからだった。事情を知った警察官は私たちにバレないよう息を潜めてその身を隠していたのであった。
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