「これはともひさとあいつに対する懺悔として蓄えてきた貯金だ。どのように使おうがお前らの好きにすれば良いと思っていたが、離婚したとなると、ともひさ、お前が全額自由に使えばいい。遺産相続にかかる税金に関してはすでに対処済みだ。このお金は誰にも知られていない秘密の金だ。こいつで俺の罪滅ぼしとさせてくれ。勝手なことは百も承知である。黙ってこれを受け取って欲しい。お前が今日実家に帰ってきたのも何かの縁だ。それに…俺の命はあと僅かなんだ。長年の飲酒がたたって肝臓がやられてしまっている。ともひさには俺が死ぬ前に全てを話したかった。こんな形でともひさに懺悔するとは思わなかったが、どうかこんな情けない父を許してくれ。」
父が私に頭を下げたのは今まで一度もなかった。父が浮気をしていたことぐらい鈍感な私でも気付いていた。だが、その相手が他ではない妻と知った時は心臓が止まりそうなほどであった。
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