彼女の姿を一目見たいと思いましたが、立場上それは許されない行為である思った。だが、せめて彼女が搬送された病院だけは拝んでおきたいと思った私は駄目元で近くにいた警察官に彼女が搬送された病院を聞いた。
「君は誰なのだ?事故した人間の身内なのか?」
「いや、私の知り合いの車に似てるかなと思って。」
「それなら、隣町の市民病院にさっき搬送されたようだ。あっ、そうそうその知り合いっていう人の名前はなんていうんだ?」
私は咄嗟に口から出まかせを言った。流石に私のことを嗅ぎつけられても困る。私は急いで車に乗り込むと隣町にある市民病院へと向かった。
病院内のロビーは騒然としていた。医者や看護師たちが慌ただしく動いていた。おそらく彼女の衣類やカバンの中から免許証が確認されて家族が呼び出されているだろう。私は彼女の家族の人と鉢合わせになるわけにはいかなかった。私は心の中で彼女にさよならとありがとうと呟き病院を出ようとした時、見覚えのある人物らしきものの姿が病院を去ろうとしていた。だが、その人影はあっという間に私の視界から消えていった。
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