寺沢には身長と体型ぐらいしか分からなかったと言ったが、実はそんなことはなかった。私は頭の痛みが残る中、寺沢に妻のことを頼むと言って一人になった。
寺沢が一人帰っていたのを確認すると私は部屋に残されていたベルトを手にした。それを見て私の中で全てが繋がった。急いで車に乗り込むと彼女の会社まで車を飛ばした。
そこは騒然たる状況となっていた。何台もの警察車両も消防車、そして野次馬たちがひしめき合っていた。私は車から降りて少しでも現場に近づいていくと、そこには先ほどまで一緒に乗っていた彼女の車が壁に激突していた。
私は膝から崩れ落ちた。
絶望
その言葉がこれほどしっかり来ることはなかった。
※元投稿はこちら >>