車の中で身体を重ねたことを思い出し胸が熱くなっていたゆきだったが、上司との関係を最愛の不倫相手の彼に見られたことでひどく落ち込んだ。彼女は車のエンジンをかけると思いっきりアクセルを踏んでサイドブレーキを落とした。タイヤからは煙がもくもくと上がり、ゴムの焼ける匂いが辺りに広がった。
次の瞬間、車の前にそびえ立つ工場の壁に車が激突した。鉄の塊であるはずの車がいとも容易くその原形をとどめていなかった。車のボンネット部は前列の座席までめり込んでいた。ゆきは運転席のシートと鉄の塊の間で痛みを感じることなく意識が途絶えていった。
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