ここからだと急いでも50分ぐらいかかる。場合によっては1時間を超えてしまうかもしれない。私は急いで車を走らせて自宅へと向かった。ただ、このままこのパソコンを奴らに渡してしまえば、名前や自宅を知られている私たちの身の安全は保証されない。かといって警察に相談するのもどうかと思った私は悪友である寺沢に連絡を取った。
「おぉ、どうした?ようやく奥さんの不倫相手を調査したくなったか?」
私は口早に事情を説明した。
「それは時間がないな。俺も直接お前の自宅に向かう。お前の家の手前にあるコンビニで待ち合わせだ。お前の車の後部座席の足元に隠れて一緒に行く。一人では決していくなよ。わかったか?」
私は寺沢と電話を切ってからも胸騒ぎが治らなかった。とりあえず私は急いで自宅に向かおうとしたが喉が渇いたので近くにあったコンビニエンスストアに立ち寄りお茶などを買って急いで車を走らせた。
ペットボトルのお茶を一気に空にすると私はそれを助手席にポンと投げた。信号が長く感じられた。
寺沢と待ち合わせをしたコンビニエンスストアまであと5分ぐらいだった。私は急いで車を飛ばしていくと先に寺沢がコンビニエンスストアに着いていた。寺沢と合流して寺沢を後部座席の足元に寝かせると私は自宅に向かった。寺沢と会った時、寺沢から「大丈夫だ。心配するな。」と声をかけられて幾分か気持ちも落ち着いた。
自宅前には白色のクラウンが停まっていた。どうやらあの時の男で間違いないみたいだった。ナンバープレートは丁寧に外されていた。これで、男の情報はこのパソコンとSDカードに入っているものしかなかった。
※元投稿はこちら >>