すると、ちょうどその日、その場所の付近で婦女暴行事件があったのだった。その事件に関する記事を探して読んでいった。
事件の概要は次のようなものだった。
事件当時20歳だった女子大生が警察官らしき2人組に路上で職務質問にあい、後部座席に連れ込まれた瞬間両手を後ろに回されて手錠をかけられたようです。身動きの取れなくなった女性に対して2人組の男は彼女の服を剥ぎ取ると暴行を働いた模様。事件後、兵庫県警は車両の全確認を行ったが、その時間その場所にいた警察車両は一台もないことが判明した。犯人と思われる2人組は白色のクラウンを改造してパトカーに似せていると思われる。
また、被害にあった女子大生はその後自宅マンションから飛び降りをしていて死亡が確認されていた。有力な手掛かりがないまま事件は未解決である。
そう記事には記載されていた。
私はもう一度自分が撮った写真を見つめた。パトカーが写っている部分を大きく拡大していった。
「こ、これは…」
黒色のマグネットで綺麗にカッティングされていた文字を車に貼り付けているだけだった。パトカーを見ると悪いことをしていなくても、悪いことをしているかもしれないといったことから冷静さが失われるものだった。当時の私のそうだった。だが、今じっくりと写真を見ると明らかに雑な作りのパトカーであることがわかった。そういえば、パトカーの後部座席に座った時も無線らしきものは見当たらなかったし、普通のクラウンの内装と変わらなかった。
私はそのパトカーについているナンバープレートを確認した。だが、こちらは残念なことに写っている写真は一枚もなかった。だが、顔写真があるということはSDカードを盗み出した男もそのことには気づいているはずだった。私は妻の身が危険だと思い妻に急いで電話をかけた。
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