ここのホテルは山の上にあるので車がないと来ることも出来ないほど不便な場所であった。おそらく妻を連れて出た男というのは「あきら」という人物であろう。私は妻と決別する意思を固めつつあった。とりあえず自宅に戻れば妻もいずれ帰ってくるだろうと思って自宅へと車を走らせていった。
自宅に着いた私は家の灯りがついていないことを確認した。やはり妻は家には帰っていなかった。私は鍵をポケットから取り出して家の鍵を開けて中に入った。なぜか自宅なのに久しぶりに帰ってきたような感覚に見舞われた。部屋の中は散らかっていた。床には男性の精液の跡と思われるようなシミが広がっていた。それに大人のおもちゃと言われるようなものすら床に散乱していた。妻の本性が見えた瞬間だった。
私は兼ねてから役所でもらっていた離婚届を引き出しから取り出した。妻との結婚生活を思い出しては感極まって涙が溢れてきた。だが、ここまでくると後戻りは出来なかった。離婚届にサインをしてテーブルの上に置いた。
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