私は心の中で覚悟を決めていた。彼女の上司と直接会うことで話をつけてやろうと思っていた。だが、そのためには彼女にも覚悟を決めてもらう必要があった。それは旦那さんとのことであった。旦那さんと別れる決心がつきさえすれば彼女を会社から辞めさせ、私と二人で遠く見知らぬ土地で新たな人生を送ることが出来るかもしれないと思っていた。そのことを彼女に話をすると
「ともひささん…ごめんなさい…それはやっぱりできないわ…旦那のことはどうでもいいけど…子どもを置いて逃げるなんて…やっぱり…私には…出来ないわ…本当にわがままいってごめんなさい」
彼女の気持ちは痛いほど理解できた。可愛い子どもを見捨ててまで自分の人生を楽しむなんて出来ないような優しさを持つ人だからこそ、私も彼女のことが好きになったのだから。
私はもう一度作戦を練ることにした。だが、浮かんでくるのはこの場から何とか逃げ出せないのかということばかりであった。
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