彼女の目には涙が浮かべられていた。それは悲しみの涙というよりは嬉しさによる涙のように感じられた。
「ともひささん…ごめんなさい…私…汚れてるの…こんな…私…嫌ですよね…」
私は強引に彼女を抱きしめた。ずっとずっと抱きしめた。いっそのことこのまま彼女と二人でどこか見知らぬ土地に行って人生を共にしたい。そう思えるほど彼女のことが愛おしくて、また守ってあげたかった。
「愛してるよ、ゆき」
だが、私の口からはこの言葉しか出すことが出来なかった。これから先、彼女の全てを守っていくにはまだまだ課題も多かった。まずは、彼女の上司であろうあの男のこと。そして、妻のあきらという人物のこと。そして会社にある私の机からSDカードを盗み取った男のこと。これらを解決しなければすべて片付けた訳にはいかなかった。私はまず彼女の上司という男のことについて片付けていこうと思った。
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