助手席の扉を開けて彼女をエスコートすると、私は急いで運転席に座りエンジンをかけました。車を発信して彼女と待ち合わせをした場所へと向かいました。思いのほか道が空いていたので、待ち合わせをした場所に着いた時にはまだ10分ほど余裕がありました。私たちは車の中で見つめ合いながら手を握っていました。別れの時間が来るまで、お互い何も言わずにただただ見つめ合いながら手を握り合っていました。時計が別れの時間を示しました。
「そろそろ帰ろっか。」
この言葉を発することがとても勇気がいりました。これほどまで人を愛したことはないのではないかと思うほど、彼女のことが愛おしくて堪りませんでした。このまま繋いだ手を離さなければどうなるのだろうか?そんなことを胸に思いながら、「じゃあね」と言って彼女の口にキスをしました。彼女は「ありがとう。すごく嬉しかったです。また連絡しますね。」と言って車を降りて、乗って着た自分の車に乗り込むとバックミラーで化粧や髪の乱れの確認をした後、私の方を向いてニコッと微笑み手を振って帰っていきました。
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