今いてる所から同心円で1時間圏内の場所を表示させた。私はしばらくスマホの画面とにらめっこした。そして、私の微かな記憶を元に地図上に書いてある文字を目で追った。思い出の場所か…。私はその中から2つの場所を思い出した。一つは六甲山。もう一つはメリケンパーク。私の会社はその2つのちょうど真ん中ぐらいに位置していた。どちも回るほどの時間はなかった。どちらか一つを選択しなければならなかった。
私はしばらく目を閉じて妻との思い出を思い出そうとした。六甲山は初めて妻とデートした場所だった。そして、メリケンパークは妻にプロポーズをした場所だった。私は大いに悩んだ。どちらなのか…。
すると妻からメールが送られてきた。
「私たちが初めて結ばれたことを覚えてる?あなたは何も出来なくて私があなたをリードしたことを。私にとってはとても思い出深い出来事なの。あなたが私の中で果ててくれたことを今でも鮮明に思い出すの…あなたはどうかしら…今となってはもう遅いのかも…あの時と同じ気持ちであなたと過ごせたら…」
私は妻のメールを読んで私の頭の中に眠る記憶が一気に目覚めた。
私はサイドブレーキを落とし、アクセルを踏んで目的地へと向かった。
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