それから私は思い出したかのように、彼女であるゆきのことを思ってはため息ばかりついていた。仕事が手につかないほど私の心は彼女に支配されていた。このままじっとしていては何も始まらない。私はそう思うと行動に出ようと思った。だが、何からすれば良いかわからなかった。とりあえず連絡がこない彼女にメールをすることから始めた。
そして、じっくりと話し合いをしてこなかった妻とも話をしなければならないと思った私は、妻に連絡を取った。するとすぐに妻から連絡が入った。
「今から会えない?」
私は会社内のホワイトボードにある外出というマグネットシートを自分の名前の隣に貼って会社を飛び出した。
「今会社を出た。」
「今、私たちの思い出の場所に一人で来ているわ。あなたが覚えていれば、そこから1時間以内でこれるはず。1時間経ったらここを立ち去ります。そして、あなたからも…」
私は急いで車に乗り込んだ。
思い出の場所…
必死に記憶を遡ってみた。だが、意外とそれを思い出すことが出来なかった。それは妻とは色々な場所に行ったからだ。私はスマホで地図を出した。ここから1時間圏内で行ける所で私たちが行ったことがある場所を探していった。
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