早織を自宅付近で降ろすととんぼ返りで会社に戻った。私は自分の机の中を漁っていた男について思い出そうとしていた。私の脳はその男が誰なのか知っているようであったが、私は理解できなかった。だが、盗まれたものはないかと机の中を隈なく調べた。だが、取られたものは何一つなかったように思われた。特に取られて困るようなものを机の中に入れているわけではないので、それほど心配する必要はなかったが、唯一心配事としてあげられるのは会社の同僚の住所が書かれている書類を悪用される心配だけあった。だが、その書類すら元の位置にあったので心配する必要もなくなった。
だが、一体何のために私の机の中を漁ったのか?
身に覚えのあることといえば、不倫相手であるゆきのことしかなかった。だが、ゆきに関する情報は私が手にしているスマホの中にしか存在していなかった。金目のものも机の中に置いていなかったので、盗み出すものもなかったのかもしれない。いや、それでもピンポイントで私の机を漁っていたのだから何かあるのであろう。私はそれが一体何であったのかわからぬまま会社をあとにした。
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