車から降りた私たちは、駐車場から一番近い店に入った。店内は店員しかいないあまり流行っていないような店だった。店員も40代後半と思われるお世辞にアパレルショップの店員とは思えないほど、ダサい服を着ていた。だが、意外にもこの店の服はお洒落なものが多かった。私はその中から彼女に買って着させる服を手に取った。それは麻のオフホワイトのワンピースだった。麻の生地は着心地がよく通気性もよく、高級素材の一つではあるが、明るい光の元だと透けるのが特徴だった。
それを彼女に手渡すと
「これ、すっごく生地感がよくてデザインも可愛いっ。こんな服一度は着てみたいなぁ。」といって満更でもない様子だった。
彼女は服についていた値札のタグを手に取った。
「えっ?こんなにもするの?」
着心地のよい麻の服はそれなりに値段がするものであった。
「この値段だったら、いつも私が買ってる服が10着ぐらい返そうだよ。」と、その値段に彼女は驚き面喰らっていた。
「店員さーん、これお願いします。」
「えっ?ダメだよ。こんな高いお洋服。」
「いいのいいの。これは私からのプレゼント。さっき買った靴と合わせるとすごく可愛いと思うよ。」
「でも、本当にいいんですか?こんな普通のどこにでもいる主婦にお金を使って…」
「何をいっているんだい?可愛くて綺麗で素敵なゆきにはいつまでも美しくいて欲しいからね。それにゆきはどこにでもいる主婦とは違う。私が世界で誰よりも愛してる主婦だよ。だから、素直に受け取ってよ。」
「なんでともひささんは私のために色々としてくださるのですか?私それほど魅力的な女じゃないですよ?」
「十分魅力的な女性ですよ。それに今日はここにきてからすごくいやらしいしね。ゆきのそんな姿を見たら可愛くてしょうがないんだ。これは私からのプレゼント。だから、これをきて私とデートして欲しいんだ。」
「わかりました。でも、今後はこんな高い買い物はしないで下さいね。」
「わかった。わかった。」
レジで会計を済ませると、彼女を試着室に導くと先程買ったオフホワイトの麻のワンピースに着替えさせた。
※元投稿はこちら >>