私は彼女を引き連れて靴屋さんに入っていった。彼女に靴を買ってやろうと思ったのだが、それだけでは面白くないので比較的歳をとっている男性店員に声をかけて靴を一緒に探してもらうことにした。彼女は私の顔を見ては「ダメよぉ」といった表情を見せましたが、私はニコッと彼女に微笑み返すだけで彼女の意見など聞こうとはしませんでした。
「店員さん、彼女に似合いそうな靴はありませんか?」
客商売にも関わらず、あまり口数の多くない40代ぐらいの少し太った店員さんは少し嫌そうな顔を私たちに見せては、適当な靴を選び始めた。
「ちょっ…ちょっと…いやよぉ…この人に…見られるなんて…」
「じゃあ誰ならいいの?」
「んもぉ…そういうことじゃないってばぁ…」
「じゃああそこにいる女性店員さんに探してもらう?」
「同性はもっと嫌!」
「じゃあこの人でもいいんじゃない?それに靴を選んでもらうだけだよ。それとも、ゆきは見られたいって心の底で思ってるんじゃないの?」
「んもぉ…ともひささんなんて知らないっ…」
口ではそう言っていた彼女だが、目は少しトロンとなり口も半開きになってきていた。
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