寺沢とは幼稚園の頃からの付き合いである。悪友と言っておきながら悪いのは多分私の方であったのだが、彼の場合は悪巧みがすごいということである。何をするにしても絶対に証拠を残さないといった徹底ぶりで人のウィークポイントを攻めていくのである。味方につけるとこれほど強力な助っ人はいないが、敵に回すととんでもなく追い込まれていく、そんな友人が寺沢だった。
彼は小さい頃頭が良くてほとんど勉強などしなくてもテストは毎回満点を取っていた。だが、そんな彼も一つ弱点があった。それは誰が見ても明らかなブ男だった。おそらく、小さい頃からその容姿について散々周りの人間から色々と言われてきたから、人の弱味を一瞬で嗅ぎ分け攻撃に転じるのだと思われた。彼とは何の縁だったのか忘れてしまったが、中学高校とずっと一緒に過ごしていた。それに彼は頭が良かったにも関わらず、私と一緒に行動すると何か新しいものを経験することが出来るから楽しいと理由から、ごく平凡な高校に私と一緒に進学した。もちろん、そんな高校に入った彼は教師から学校始まって以来の天才だとか、まさに神童などともてはやされていたが、本人はさらさらそんなことに興味はなかった。だが、私と一緒に行動をしていたことであることに対して興味を持つようになった。それが女性だった。
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