暖簾をくぐると駐車場があるのだが、一台しか車を停めることが出来なかった。そこへ彼女の車を停車させると私は運転席から降りて彼女が座る助手席の扉を開けた。幾分か落ち着きを見せ始めていた彼女でしたが、まだ完全には足に力が戻っていないようだった。私は彼女を抱きかかえるようにして身体を支えた。彼女の腕に自分の腕を絡めて彼女が倒れないようにしながら歩いた。ロビーに入ってからも当然光っているパネルは一室だけであった。最上階の露天風呂が付いている部屋だった。価格表を見てもそこだけは破格の料金だった。私は財布の中を見た。流石にカートで支払うと足がついてしまう可能性があるため、財布の中の札を数えた。どうしても1000円足りない。どうしようかと思っていると、そんな雰囲気を感じ取った彼女は財布からお金を取り出した。
「いいのよ。家を飛び出した時にATMで十分なお金を引き出しておいたから。」
前金で料金を支払い部屋の鍵を受け取るとエレベーターに乗った。最上階といっても5階でしたのですぐに着いた。私たちは部屋に入るとまずその豪華絢爛な内装に驚きを隠せなかった。
「本当にラブホテルなの?」
彼女の第一声がその言葉だった。私の心の中に浮かんだ言葉も全く同じだった。それほど、ラブホテルというには程遠いほどの豪華さを感じることができた。
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