私は初めて彼女の車に乗せてもらった。車内に設置された柑橘系の香りがする芳香剤が彼女の可愛らしさにぴったりだと思った。彼女は運転席に座りながら黙ったままであった。
「どうしてこんな時間に、しかもゆきの家から少し離れたこのコンビニに来てたの?」
「………」
彼女は涙はすでに流していなかったが、それと同じように顔の表情の動きも止まってしまっていた。しばらく、二人の間に沈黙が流れた。この重々しい空気を何とか打開せねばと思いましたが、彼女にかける言葉が見つかりませんでした。
「会いたかったの…」
ようやく口を開いた彼女は小さな声でそう呟いた。それは聞き取れるか取れないかというほどか細い声だった。だが、私は彼女の声や動き全てを今最大限に感じ取りたかった。
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