店を出てからの早織の表情はいつもの明るい笑顔に戻っていた。二人で並んで歩いているときに、ソッと手が触れただけでも早織は嬉しそうな表情を浮かべていた。こんな可愛らしい仕草を表す女性がパートナーだったらまた違って結婚生活を送れていたのかもしれない。私は会社に戻るまで早織の手を繋いだ。早織も私の手を握り返しまるで恋人のような時間を過ごした。
「高木さんダメですよ。一時の迷いで女性に気を振りまいては。私のことは大丈夫です。もし仮に高木さんが私のことを好きっていう気持ちになった時は言ってください。その時はうーんとご奉仕しちゃいます。」
そういうと早織は握っていた私の手を離した。二人の距離が微妙に遠くなった。これでいいのかも。私は早織と別れて仕事の続きに精を出した。昼からは想像以上に仕事が捗った。気持ちに踏ん切りがついた精なのか、肩にのしかかっていた重しが取れたように感じられた。
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