「そんなことがあったのですね。私無神経すぎました。ごめんなさい。」
「いや、早織が悪いわけではなくて、きちんと説明しなかった私の方が悪かった。」
「奥さまのことですけど、女の勘からして間違いなくお相手はいてますね。でも、何でそんなことになったのですか?」
私もそのことがわからなかった。私は結婚してから妻以外の女性と関係を持ってこなかったにもかかわらず、妻は私以外の人と関係を持つことに対して理解出来なかった。だが、彼女と不倫の関係を持ってから夫婦にはない精神的なつながりや肉体的なつながりの必要性も少なからず感じていた。他人と関係を持つことで今の自分たちの夫婦関係が客観的に見えてくるところもあった。妻とは結婚はしていて家族にはなっているが、それは世間体の一つのまとまりに過ぎないとさえ思っていた。その世間体があるからこそ、夫婦関係がうまくいかないのかもしれないと思っていた。
婚姻届という紙切れ一枚にこれほどで縛られるというのも、人間には難しいのではないかとさえ思うように感じられた。
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