いつのまにか眠りについてしまっていた私は、目を覚ますとすぐに上体を起こして妻の存在を確認した。まだ、人の気配は感じられなかった。時計は深夜1時を回っていた。あれから数時間が経過しているのに一体どこに行っているのだろうか?私は新たな不安が胸の中に生まれた。台所へ行き日本酒を手に取り蓋を開けてコップに注いだ。心の不安を掻き消すためにアルコールで気を紛らわそうとした。だが、そんな簡単には不安が消えるものではなかった。妻のこと、そして彼女のこと。
私は急いでスマホを見た。メールのチェックをしたが、やはり彼女からのメールはなかった。このまま別れてしまうにしても何らかの返事が欲しいと思った。家の扉の方からカチャっという物音が聞こえた。どうやら妻が帰ってきたようだった。私は急いでスマホの画面を消してポケットになおした。妻はふらついた足取りで部屋の中に入ってきた。
「なぁんだ、まだ起きてたの?私は眠たいからもう寝るね。」
そういうと、妻は先ほどまで私が寝ていたソファに倒れこんでいびきをかいて寝てしまった。
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