ファミレスを出た僕達は、また夜の寒空の下にさらされることになりました。
照明が落とされ誰もいなくなったスーパーに戻ってきたものの、これからどうすれば良いのか、どうすべきなのか、若造の僕には見当がつきませんでした。
そのとき、黙って夜空を見ていた亜希子さんがボソリと呟きました。
「...帰りたくない」
『えっ?!』
僕は不粋にも思わず聞き返してしまいました。
「今日は家に帰りたくないの...」
『いや、帰った方がいいですって。きっと旦那さんも心配してると思いますよ』
僕は自分の想いとは逆の言葉を発していました。
“亜希子さんを帰したくない”
それが僕の本音でしたが、そんなことを言える勇気は僕にはありませんでした。
すると亜希子さんはスマホを取り出してなにやら操作始めました。
きっと僕が発した情けない言葉に幻滅したのだと思いました。そして旦那さんに謝って迎えに来てもらおうとしてるに違いない、と思ったのです。
僕はスマホの明るい光に照らされた亜希子さんの横顔を直視できませんでした。
亜希子さんの手が止まるとほぼ同時に、僕のスマホが震えました。
メッセージの送信元は目の前にいる亜希子さんからでした。
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