夫婦のため?
家族のため?
亜希子さんの旦那は僕にそう切り出して話を始めました。
『亜希子とはずいぶんと長い間セックスレスが続いていてね。それを解決する手段として君を利用させてもらったというわけだ。まぁ、君にしてみれば罠にハメられた、ということになるんだが...』
『僕を利用した?』
『もっともはじめから君が計画に入っていたわけじゃない。君と亜希子が出会う前から計画は動き出していたわけだからね』
『じゃあ、亜希子さんに冷たく当たったりしてたのも、、?』
『なかなかするどいじゃないか。そう、全部演技だ。うちの息子にも協力してもらってな。あぁ、ちなみに息子は高校で演劇部に入ってるんだよ』
『へへっ、俺の演技もなかなかに上手かったっしょ? おかげでいい練習になったぜ』
『亜希子に冷たく当たれば、そのうち他所の男に靡くと思ってな。それで、また私のところに戻ってきてくれれば計画は大成功。もし戻って来なければ、、、う~ん、それはちょっと考えてなかったな』
なんてリスクが高すぎる計画なんだと、僕は唖然としました。
『ふふ、ふふふっ 笑』
彼は急にひとりで笑い出しました。
『何が可笑しいんです?』
『まさかな、まさか亜希子が君みたいな若い男に惹かれるとは完全に予想外だったんでな。まぁ、君が登場してきてくれたおかげで計画は成功したわけだ、礼を言おう』
僕は彼の頭が狂ってるとしか思えませんでした。
『礼って、、だって、僕は、亜希子さんと、、その、、しちゃったんですよ?』
『まぁ、その件はこの計画の代償と思って目をつぶることにしよう。それと、安心しなさい。何日か前に亜希子にはこっそりピルを飲ませてあるから、君の子は妊娠はしないはずだ』
『もっとも君のおかげで亜希子もこうして気付いてくれたわけだし。なぁ、亜希子?』
「うん、そうね、あなた...」
亜希子さんは旦那の側にぴったりと寄り添い、仲睦まじい夫婦のように見えました。
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