亜希子さんの家が見つからないまま時間だけがどんどん過ぎていきます。
住んでいる方に聞いてみたりもしましたが、皆分からないと首を傾げます。
ようやく“瀬野”の表札を掲げた家を見つけたとき、時刻は22時を過ぎていました。
家の中は明かりが点いているようです。
僕は何度も深呼吸をしてから、意を決して玄関のインターホンを押しました。
ピンポーン
少し間があってから男の声で応答がありました。
『誰です? こんな時間に』
『夜分遅くに申し訳ありません。町内会の者です。どうしてもお伝えしなければならないことがありまして』
僕はご近所さんを装い玄関を開けさせようとしました。
そして、その作戦は成功しました。
『今開けますから、ちょっとお待ちください』
それからすぐに玄関のドアが開き、中から中年の男が現れました。
この人が亜希子さんの旦那?
次の瞬間、僕は話すより先に彼に殴りかかっていました。
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