スーパーを出た後、僕はある場所に向かっていました。
それはとある街外れの閑静な住宅街。
スーパーからはかなり離れた場所です。
以前亜希子さんとの何気ない会話の中で、その住宅街に住んでいると聞いたことがあったからです。
ただ詳しい住所までは分かりません。
その住宅街には同じような形や色の家がいくつも並んで立っています。
僕はそれを一軒一軒表札を確認してまわります。
“瀬野”という名字は珍しく、そう多くないはず。
もし見つけることができれば、そこが亜希子さんの家でほぼ間違いないと考えたのです。
ただ、それは途方もないことでした。
その広い住宅街にはいったい何軒の家があるのかすら見当もつきません。
それでも亜希子さんとの運命の糸を信じ、僕は懸命に探しました。
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