『遅くまで、ありがとうございました。』、そう彼女に告げられたのは、皆さんが帰って1時間後のこと。ようやく、僕と彼女の練習も終わりました。
着のみ着のままの僕と違い、ステージに置いたバッグを手に取り、彼女も体育館の玄関を出ます。
バッグには、『石川香織』と掛かれていました。彼女の名前のようです。
『もう締めていい?』と聞かれ、体育館の玄関には鍵が掛けられます。そして、正門へと歩いて向かう僕に、彼女が声を掛けるのです。
『あっ、歩き?』
『高校生です。』
『あっ!ごめんなさい~!知らんかったから…。車、乗ってっ!』
『いいです、いいです。歩いて帰るつもりでしたから。行ってください。』
『いかんよぉ~!送る、送る、』
『近いから、歩いて帰えります。』
『ダメ、乗ってっ!』
石川さんは善意のつもりでしょうが、女性慣れしていない僕には本当に迷惑でした。事実、助手席に乗ろうとするだけで、緊張してしまうのですから。
しかし、石川さんの醸し出す雰囲気と言いますか、それに乗せられてしまいます。からかって、面白いタイプの女性なのです。
『高校生だったの?分からんかったから…。』
『老けてますか?』
『違う、違う。練習教えてもらってたから、もっと年上に感じたのよぉ~。』
『老けてるってことですか?』
『えっ?ちょっと待ってぇ~。この子、ちょっと面白いっ!ちょっと、面白いんだけど…。』
『フフッ…。』
『私、どうですか?先生から見て?』
『北川景子…。』
『いやいや、そうじゃなくて…。バスケットのセンスとか。』
『真面目に答えた方がいい?』
『真面目に…。』
『フォームはいいです。センスもあります。普通に、上手いです、シュートは。』
『シュートは?』
『うん。シュートは。ただ、リバウンドはダメです。』
『やっぱり分かる~?自分でも、気がついてる。』
『リバウンダーは身長もそうですが、センスだと思います。』
『お兄さん、リバウンダーしてたの?』
『はい。リバウドとスリーポイント専門でした。石川さんと同じです。』
『同じやねぇ~?だから、最初に声を掛けられたんやぁ~?』
『北川景子…。』
『それはいいってぇ~!』
車を走らせること、たったの5分。我が家に着きました。『ほんと、ありがとねぇ~。』、そう言われ、彼女に降ろされた僕。
彼女が去ると、もう石川さんの分析を始めていました。年齢27歳くらいか。身長168㎝くらいか。身体は細く、栗色の髪に細い目。胸は普通、お尻も普通。
ただ、身長があるせいか、スタイルはよく見てる。まあ、それだけ。顔は特徴のない顔で、たいしたことはないと思われる。ただ、とても話しは合いそうだ。
家に帰ると、母から『ご苦労様~。バスケ、楽しかったやろ~?』と言われるが、『まあなぁ~…。』と気のない返事で返した。
部屋に行き、ベットに転がると、久しぶりに女性と長く話をした自分に少し驚いてしまう。こんなに話をしたのは、きっと中学生以来である。
おかげで、不安だった女性との付き合いにも、少しだけ自信が持てた。
その夜…。めったに観ない20代の女優さんのAVが再生を始めた。頭の中では、その女優さんと石川さんの顔のシンクロが行われようとしていた。
しかし、大失敗に終わるのである。石川さんの顔が、あまりに特徴がないため、『あれ?どんな顔だっけ?』と浮かんで来ないのである。
結局、画面はいつものように熟女AV女優さんに変わり、いつものように僕の精液は高い放物線を描くのでした。
※元投稿はこちら >>