ある日の土曜日、俺とマリコはヒット中の洋画を見に映画館へ出かけ、見終わったあと
繁華街にあるイタリア料理の店に行こうと、人通りの多い夜道を歩いていました。
マリコは派手な顔立ちに茶髪、化粧も少しお水の匂いがします。それは前の旦那と
離婚した後、生活のために短い期間ですがスナックで働いたことがある為だちょ思います。
ちょっと玄人ぽく見えるので、俺と二人で歩いていると相当に違和感を見る人に
与えているように思います。何せ俺は丸顔に眼鏡の公務員顔で少し太り気味でしたから。
その時も夫婦が歩いている姿には見えなかったかもしれません。
通りの向こうから金髪で黒っぽい服装の20くらいの男が近づいてきました。耳と鼻にピアスをしていました。
「ちょっと、俺、あんたに用なんだけど」
男は慣れ慣れしくマリコに話しかけてきました。マリコがきょとんとして俺の方を向きました。
男は俺とマリコを交互に見て
「あー、そういうことね。」
ひとこと言うと男は去っていきました。
「誰だろう、お店に来たお客さんだろうか。」
マリコは呟いていましたが、俺にはもっと別の何かがあった相手のように思われたのでした。
※元投稿はこちら >>