ほんの一瞬だけのキスでしたが、ゆかさんが私を受け入れてくれた瞬間でした。そのあとはコンビニに行って酒を買いました。
ゆかさんはコンビニに行く口実として欲しいものがあると言ってたので、カモフラージュのためにカバンのついたムック本を買っていました。
帰る道中にラインを交換して家に戻りました。扉を開けるといつもの部屋と何かが違っているような感じを受けました。
こたつでは、卓上のIH調理器の上にすき焼き鍋が置かれていました。ゆかりと木村さんの旦那さんは私たちが帰ってきたのが分かると「遅いよ~。どこに行ってたの?」と嫁が言ってきました。
おそらく私たちがいない事をいいことにキスとかをしていたのだと考えると腹が立ってきました。だが、それを顔に出すわけにはいかなかったので努めて冷静な態度を装いました。
木村さんの旦那さんがなぜゆかりに興味を持っていたのか、これで合点がつきました。
私たちもこたつについて買ってきたビールや酒を並べて「カンパーイ」といって飲み始めました。
いつもなら美味しいはずのすき焼きの味がこの時ばかりは全く感じられませんでした。ゆかりと木村さんの旦那さんは全く不倫をしている感じが見えないほど、一定の距離を保っているように見えました。
対照的にゆかさんはあまり言葉を発さず食べることに集中していました。私は食べるよりも飲みたい気分になっていましたので、大量に買ってきていた酒を次から次へと開けて飲んでいきました。現実逃避をしたかったからです。程よく酔いが回ってくると、二人の様子のことなどどうでもよくなっていました。
そのかわり先ほどキスを交わしたゆかさんのことが気になり始めました。
私はこたつの中に手を入れて隣に座るゆかさんの膝頭を右手で触りました。
ビクンと体を反応させたゆかさんは咳払いをして姿勢を戻すような態度をとって私の方を見ました。私は何の反応も示さないようにゆかさんを見てから、すき焼きの鍋に目を写しながら、右手でしっかりとゆかさんの膝頭を触っていました。
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