寝不足だ。
私は仕事中もぼっーとしてしまう。
仕事が終わりサイトにアクセスする。昨日程では無いが沢山のメール。全部返信していたらキリが無いと思い、数件だけ返信した。
徐々にメールが減り3人の男性の方だけの遣り取りになった。1日1回の時もあればズッーと返信し続ける時もある。段々とサイトのシステムも分かってきた時、男性はメールするのにお金が掛かるのが分かった。私は1人の男性にメアドを教えて以降この男性とはサイトを通さずメールをするようになりました。
男性は本名を名乗ってきた。名前は「たかし」、私より2歳年下、家庭も有り子供もいる人でした。
たかしとのメールは本当にくだらないメールばかりだけど楽しかった。今日は職場でこんな事があったとか、昨日のドラマが面白かったとか、高校生の文通みたいな内容。たかしはそんな私のくだらないメールに付き合ってくれた。家族の愚痴をメールをした時、たかしも同じ様な状況なんだと思った。会った事も無い男性に夫婦の事まで話をしてしまっていた。
たかしとのメールは2ヶ月以上続いた。ある時たかしが有名美術館の話をしてきた。たかしは美術館や博物館が好きなのは知っていたが、私は全く興味がなくいつもは話に乗らなかったけど、この日私はたかしの興味があるものを見てみたいと思った。「一緒に行く?」たかしのメールに私は一瞬躊躇ったけど行く約束をしました。
その時から心臓の鼓動が早くなる。約束の日まで1週間、私はたかしとのデートとの事で頭がいっぱいになった。2ヶ月メールはしたけど顔を見た訳でも無いし声も聞いた事が無い。そして不安がよぎる、私を見たたかしはどう思うのか。おばさんにしか見えない自分にがっかりするのでは無いか?期待と不安が交差する。
そして当日、家族には大学時代の友達に会いに行くと言い家を出ました。
新しいワンピースにスプリングコート、美術館に行くだけと言ったのに少し可愛らしい下着も新しく買った。
都内のターミナル駅は人混みが凄い。時間より早く着いてしまった。たかしは紺のセーター、ベージュのチノパンとメールしてきた。私も自分の服装をメールする。メールする手も震えるぐらい緊張している。まるで初デートの高校生みたいに、いやそれ以上かも。
「恭子さん?」振り向くと身長180cm以上ある「たかし」が立っていた。メガネをかけていてぎこちない笑顔で私に声を掛けてきた。「やっと会えましたね」まともにたかしの顔を見れない。私は「はい」とだけ答えました。
眩しい、駅の外は眩しかった。そして彼の大きな背中が眩しくて私は彼の斜め後ろを付いて歩く。人混みで離れそうになると彼が私の手を取った。男の人と手を繋ぐのはいつ以来だろう、結婚当初以来か?顔を真っ赤にしながら彼に誘導される。
美術館に入ると静かだ。私の心臓の音が彼に聴こえてしまわないか心配になる。彼が時々説明をしてくれるが全く頭に入ってこない。
美術館を回っている間も手を繋いで歩いた。手は汗ばんでいる。ぼっーとしている私は時々彼の腕に体をぶつけてしまう。ドキッとする。彼が何か話しているけど私は頷くだけ、喫茶店に入ってやっと落ち着きが戻った。
コーヒーを飲みながら色々な話をたかしとしました。殆どがメールでした内容だけど。出会い系の人は皆んな体目的では無いと思うのでした。たかしは私の事をどい思っているのだろう?思い切って聞いてみました。
「恭子さんとのメールは楽しいし、こうやって会って話すのも楽しい。でも、俺もその辺の男と同じだから恭子さんの事を抱きたいとも思ってる」真面目に答えるたかし、私は「抱きたい」の言葉がぐるぐる頭を回って「たかしさんに抱かれたい」と小さな声で呟いていました。時間はまだ午後3時、喫茶店を出て手を繋ぎ2人で歩き出しました。
※元投稿はこちら >>