駐車場に車を停め、映画館へと向かいます。さすがに休日で人は多く、佐久間さんも手を繋ぐなんてことは嫌がりました。
それでもチケットを買い、人の少なくなった映画館へと入っていくと、僕の差し出した手をしっかりと握り返してくれるのでした。
SF、アニメ、話題作、その程度しか関心のない僕でしたが、選んだのはラブロマンス。普段なら、レンタルでも絶対に観ない作品です。
劇場に入ると、休日とはいえ見事にお客は少ない映画。まあ、ある意味正解だったのかも知れません。
席に着くと、『なにか買ってくる?』と聞かれました。普段なら、もちろんポップコーンとジュースです。
しかし、『ああ、いいです…。』と答え、どこかいいところを彼女に見せようとしてしまいます。
劇場内が暗くなり、スクリーンには公開間近の作品紹介が流れ始めます。緊張もあったのか、その作品紹介も頭に入って来ません。
ところが、『これ、面白そうねぇ~。』と佐久間さんが反応をします。意味も分からず、僕は反射的に『そうですねぇ。』と答えてしまいました。
その勢いで、『今度、観に行きます?』と聞いてみると、『いいのぉ~?』なんて聞かれてしまい、どこか嬉しくもなってしまうのです。
『行きましょ、行きましょ、』と言った僕は、そのまま肘掛けに置いてあった彼女の手を握りました。残念ながら、それなりに年を重ねた女性の手です。
それでも、その5本の指の間に自分の指をねじ込んで行くのです。
佐久間さんの顔もハッキリとはしない、真っ暗な劇場。そんな場所なのに、繋いだ手からは、妙な緊張感だけは伝わって来ます。
高齢とは言え、やはり女性です。男性に指を絡まされ、心中穏やかなはずがありません。
この緊張を嫌がったのは、彼女でした。もう堂々と手を動かし、僕の手を両手で握り締めて、いたずらをしないように自分の膝の上に置いてしまうのでした。
『握っててあげるから…。』、小さく僕に言って来た彼女。言い換えれば、『もう、この手はじっとしてて。』とも取れるのです。
映画が始まりました。予想通り、僕が喜んで観るような映画ではありません。15分もすれば映画よりも、彼女に握られている手の方が気になり始めます。
僕の手は、そっと握られていました。どちらの手からなのかは分かりませんが、熱を帯びて汗をかいているのが分かります。
彼女の両手に包まれている僕の手が反転をし、上を向きました。そのまま、乗せられていた彼女の左手とまた指が交わるのです。
スクリーンを見つめている佐久間さんからも、緊張がうかがえます。
僕の手は彼女の左手と絡まり、握り締めるように拳を作ります。そして、そのまま自分のお腹の辺りにまで彼女の手を引っ張ってくるのです。
完全に立場が変わりました。連れてきた彼女の左手を『興味津々』とばかりに、僕の手が触り始めるのでした。
右の指は上から何度も彼女の手の甲を伝い、左の指は下から細い手首を掴みあげます。そして、触れてわかった情報は、全て脳へと運ばれるのです。
チラッと佐久間さんを見ました。目はスクリーンに向かってはいますが、触れられる左手、そして僕がチラッと見たことも全部分かっているようです。
僕の左手が、彼女の手首をしっかりと握り締めました。少し引っ張るような感じです。おかげで、結果彼女の手は僕のズボンの上に置かれることになります。
これは意図的ではありません。偶然のことです。なぜなら、押さえた彼女の手を、僕の右手がさかのぼり始めたのですから。
手首から肘へ、そして肘から腕へ登り始め、ついには彼女の着ている薄いワンピースの腕裾にまで到着をしたのです。
裾から更に僕の指は入り始めました。ここで、ようやく佐久間さんが反応を見せます。『触ったらダメよ?』と口にしたのです。
もちろん、僕の大きな手も狭いワンピースの裾からでは入る量も知れています。指3本がいいとこなのですから。
しかし、その3本が『入れてくれ、もっと入れてくれ~。』とばかりにわがままに動きます。
不意に、佐久間さんの身体がこちらに傾きました。僕のしていることを理解してくれ、他の客から少しでも見えないようにこちらに身体を倒してくれたのです。
薄暗い中、目の前にはワンピース越しの彼女の胸元が見えるのです。僕の指は、すぐにワンピースの首元に掛けられました。
クイっと引くと、佐久間さんの肩が現れ、していたブラの紐が露になるのです。しかし、さすがにここまででした。
彼女はワンピースの肩口を持ち、服装を整え、姿勢を正しました。『ここで終わり。』と言った感じです。
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