今思えば、彼女は時間稼ぎをしていたのかも知れません。それも、出来るだけ僕の興奮を促さないように…。
そのために、浴槽へと深く沈められた彼女の身体。見せてしまえば、若い僕が興味を示してくることを彼女は分かっているからです。
視線を合わせないようにしていたのも、僕をその気にさせないための行動でした。
『時間が欲しい…。少しでも身体を回復させる時間が欲しい…。』、池本に犯され続けた67歳の身体を、正常に戻すための時間が欲しかったのだ。
自分の気持ちに流され、僕を風呂場へと誘ってしまったことでさえ、今の彼女は後悔をしてしまっていたのです。
僕は、不意に彼女の手を取りました。佐久間さんは『なぁ~にぃ~?…、』と子供をあやすような言葉で、その手を握り返してくれます。
逆に恥ずかしくなった僕は、『別にぃ~…。』と強がって答えると、『なら、触らんとって~…。』と茶化しました。
いつもそうなのです。僕がふざければ、彼女が呆れたような態度で返す。漫才で言えば、『ボケとツッコミ』。
お互いにその役割がちゃんと出来ているから、こんな年の差でもいい関係が気づけているのです。
彼女の掴んだ手を引きました。一瞬、僕の方へと身体が浮いた彼女ですが、『絶対スケベなことするから、行かん…。』と寄っては来ません。
『スケベなことって、どんな~?…、』
『スケベなことするやろ~?』
『だから、スケベなことって、どんなことよ~?』
『言えるはずないでしょ~?』
『いやらし…。』
『はぁ~?どっちがいやらしいんよぉ~。変態っ!』
『じゃあ、スケベなことしないから、こっち来てよ…。』
『おかしいぃ~。なんかするつもりだから、そっち引っ張ろうとしてるんでしょ?』
『だから、なんかって何よ~?』
『どおせ、おっばいとか触るやろ~?』
『それで~?』
『そしたら、もっとするやろ~?』
『なにをよぉ~?』
『この子は何を言わせようとしてるのよ、ほんまにぃ~…。』
と呆れていた彼女ですが、僕が『するに決まってるやろ~!』と言って強く手を引くと、諦めたのか身体を反転させ、背中から僕の胸へと飛び込んで来ました。
途端に、彼女は『ほらぁ~。』と口にします。
腰辺りに触れた、僕のモノに気がついたからです。『ほらなぁ~?スケベなことする気やろ~?』と続けるのでした。
余裕を見せながら、そう口にした佐久間さんでしたが、心中は『想定外』。
男が歓ぶであろう女の色気を最低限にしか出してないと思っていただけに、先程まで寒さで縮んでいたモノが、こんなに膨張してるとは思ってなかったのです。
『いやらしい子が、背中に当たってるわよぉ~?』、佐久間さんはからかって、その場を和まそうと考えました。
しかし、『当たり前やろ~!由美子が好きなんやから~!』と僕が後ろから抱き締め、向こう向きの顔を無理矢理こちらに向けさせると、
『して…、お願い…、してぇ~…。』
と彼女は堕ちるのでした…。
奪った彼女の唇からは、細長く舌が突き出されました。背を向けて座っていた彼女の身体も、僕を求めるようにこちらを振り返ります。
僕の頭には彼女の手が掛かり、一生懸命に唇を奪ってくれるのです。彼女の口からは、『優人~…、優人~…』と、作者も忘れていた彼の本名も呟かれます。
そして…、『私も好き…。優人がほんまに好き…。』と告白をされたのです。正直、嬉しさよりも驚きの方が勝っていたと思います。
あの佐久間さんが、普通ではない感じがしたからです。そして言った本人も、それには気がつきました。
しかし、訂正はしませんでした。それよりも、自分をさらけだすチャンスだと思ったのでしょう。
『私、スケベ!優人より全然スケベ、変態っ!セックスのことしか考えてないアホなんよぉ~!呆れるやろぉ~?』とまで言ってしまうのでした。
そんな彼女が不憫にも思え、それ以上に弱い存在にも感じました。あの『完璧』だと思っていた彼女のイメージも崩れて行くのです。
『由美子っ!犯らせっ!』と細くか弱い両の手を掴まえ、年下の僕が命令口調で言ってしまったのも、そのためでした。
『犯ってぇ~!優人のチンポで、こんなアホな私、もう犯りまくってぇ~!!』と叫んだ彼女。
言った悔しさなのか、言えた嬉しさなのか、その目からは涙が溢れていました。
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