シャワーを浴びるために佐久間さんが風呂場へと消え、僕はリビングで待っていました。やけにその時間が長く感じます。
早々に終えてしまった僕を、『彼女はどう思っているのだろう?』とどうしても考えてしまうのです。
5分後、新しい夜間着に着替えた彼女が現れます。濡れた髪にバスタオルを乗せたまま、キッチンへと向かいました。
ただそれだけなのに、『僕に呆れているかも…。』と詮索をしてしまうのです。
『お茶飲む~?コーヒーがいい?』
彼女が優しい言葉遣いだったことに、少し安心します。僕は彼女に気を使い、『お茶でいいですよ。』と答えました。
テーブルの上にはグラスに入ったお茶が置かれ、気持ちに余裕のない僕はそれをすぐに手に取ります。一口飲むと、両手に抱え込むのです。
しばらく会話はありませんでした。初めてセックスをした二人でしたが、お互いにいろいろと考えることがあるようです。それでも、
『ありがとうねぇ~?』
『あっ、こちらこそ…。』
『私じゃ、楽しくなかったでしょ?』
『いえいえ、楽しかったです。』
『ほんとぉ~?こんなおばちゃんでも~?』
『はい。興奮して、すぐに終わってしまって…。』
『そんなことないよぉ~。』
『なんか、カッコ悪くて…。ちょっと恥ずかしいです。』
『そんなことないない~。全然ないよ~。』
うまく自分の気持ちを伝えましたが、彼女の言葉が僕をかばってくれているような気がして、気持ちは晴れることはありません。
それでも、長い土曜日でした。家に帰り、その日一日を振り返ったりもします。まあ、何より彼女と結ばれたことが大収穫であります。
『佐久間さんも僕のこと考えているかなぁ~?』、そう思いながら、僕は眠りにつくのでした。
その頃…。
『熟女 個人撮影』、佐久間さんの細い指でキーボードが叩かれていました。大型テレビには、パソコンの個人動画が再生を始めています。
パジャマに着替えた彼女はベッドに腰掛け、すぐに下着の中へと手が入れられて行くのです。『ユウ~…。』、僕の名前を呼び、気持ちを高めています。
しかし、いつもならここから別世界へと移れる彼女でしたが、今日はうまく行きません。気持ちが高まらないのです。
1時間ほど格闘をしていた彼女でしたが、あまりに長く続けている自分に呆れ、パソコンは切られてしまいます。
そして、布団の中へと入った彼女の枕元には、スマホが転がっていました。
『もしもし…。』
『久しぶりやねぇ~?』
『元気にしてるのぉ~?』
とても静かな寝室に、電話を掛ける佐久間さんの声だけが響いていました。スマホの画面には通話時間が表示され、時を刻んでいきます。
彼女は久しぶりに話をする電話の相手に、どこか心を踊らせていました。スマホの画面は、その人物の名前がこう表示をされています。
『池本さん』
『噂の佐久間さん』を作り出した、あの池本さんです。
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