『佐久間さんよぉ~!』
チャイムが鳴り、玄関へと急いだ彼女ですが、それも待てずに大きな声をあげた男性。その声には聞き覚えがあり、彼女は更に急ぎます。
『はい、はい、』と言いながら扉を開くと、『おったんかぁ~。』と男性の声が響きました。男性の名前は『池本』、前町内会長さんです。
『入ってもええか?』とずうずうしく聞く会長に、彼女も合わせたように、『どうぞぉ~。』とお高く答えます。
すぐに玄関のカギは閉じられ、会長はスリッパを掃いてリビングへ、彼女も後を追うのでした。
『噂の佐久間さん』
この男性こそが、そう呼ばれた噂の張本人となる人物。これは6年前のお話で、佐久間さんの旦那さんが亡くなって、僅か4カ月後のことでした。
所有する土地の問題で、揺れた町内会。解決の糸口さえ掴めない状態に、『やめるぞっ!そんなこと言うなら、ワシはやめるぞっ!』と前会長が吠えます。
口を閉ざす役員の中、『やめたらは?やめるんやったら、やめたらは?』とケンカを売ったのが、この池本さんでした。
30年以上もワンマンにしてきた会長に、初めてケンカを売った形となっていました。引っ込みのつかなくなった会長は、自ら辞任。
後を次いだのが、皆さんの望んだ池本さん。長く補佐的な役割でしたが、みなさんはその働きをちゃんと認めていたのです。
おかげで土地問題は前進しましたが、残ったのは町内会の『借金』。これをどうするのかが、急がれました。
2週間後、ある人物が肩代わりを申し合わせて来ました。70代になる、谷口という町内の女性でした。900万という借金の肩代わりをすると言って来たのです。
後は、毎月コツコツとその女性へと返済すればよいと、問題は一気に解決したのでした。
その話を取りまとめたのも、新会長となった池本さん。一気に、会長として皆さんから認められてしまったのです。
『佐久間さんよぉ~、ちょっと行かんかぁ~?』、旦那さんを亡くして4ヶ月の佐久間さんを、池本さんは誘い出そうとしたのです。
家の中の仏壇には毎日のように線香がたかれ、着る服も地味なものばかりを選んで着ていた頃の彼女は、もちろん断りました。
しかし、『美味いもんでも食いに行こうや~!元気出るわぁ~。』と言ってくれた男性に、彼女も重い腰を上げてしまったのです。
池本さんはリッチに振る舞ってくれていました。高いお酒が開けられ、久しぶりのお酒に彼女の身体もかなり酔ってしまったのです。
事実、佐久間さんは帰りの車内を覚えてはいませんでした。覚えているのは、帰宅して玄関を入ってからのこと。
気がつけば、彼女は裸にされ、池本のモノを後ろから何度も叩きつけられていたのです。
旦那さんともしばらくなかった、男女の営み。細い身体をしっかりと抱き締められ、池本の太いモノは彼女の身体を何度も貫いていました。
『やめてぇ~!やめてぇ~!』と言っていた彼女も、いつしかそれを求めてしまっていたのです。池本の行為はとても長く、そして激しいものでした。
佐久間さんの身体は何度もイカされ、しばらく動けなくなるほどに満足をしてしまったのです。
『由美子さん、これ何かの足しにしてくれ。いろいろ、大変だろ?』と渡された5万円。確かに旦那さんをなくした彼女には、とても助かるお金でした。
『ほんとにいいの?』と聞く彼女に、『ええわ、そのくらい。』とさりげなく答えた池本さん。女心をくすぐる男性の姿でした。
しかし、彼女は知りませんでした。その金は、彼のものではなく、土地問題で町内の借金を肩代わりしてくれた谷口さんのお金。
50代の彼は、その身体を使い、70代の谷口という女性を虜にさせてしまっていたのです。
しかし、彼の行動はすぐに噂として広まり、早々に会長職を辞任します。『あの池本さんと何かあったのかも…。』、町内では噂が噂を呼びました。
『噂の佐久間さん』、そう呼ばれましたが、真実は闇の中。今では町内の方も忘れかけていて、思い出す方も少なくなりました。
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