『お兄さんとキスしちゃたねぇ~?』、佐久間さんの声が飛んだのは、ようやく交わしたキスに落ち着いた頃でした。
その顔は笑顔でもあり、『この年でよくやるわぁ~。』と自分に呆れた顔でもありました。そこに僕の油断が生まれていました。
彼女は立ち上がり、僕の太股の隙間にあった小さなお尻が、『スッ』と抜けたのです。慌てましたが、離れていく彼女を追うことはしませんでした。
『あのぉ~…、好きです…。』、頭では考えていない言葉が僕の口から出ていました。『わかってるわよぉ~。』、佐久間さんはそう答えます。
その言葉に、妙に安心してしまう僕でした。
彼女はこちらを向き、テーブルに腰をあててもたれ掛かりました。そして、『どうしたらいいのか、考えてるのぉ~。』と胸の内を聞かせてくれるのです。
僕は何度も立ち上がろうとします。『行け!抱き締めなきゃ!』と心では思うのですが、考えている彼女を見ると、即行動には移すことは出来ませんでした。
『どうしたらいい~?なにが最善なの~?』、考えていたはずの佐久間さんが、僕に返事を求めて来ました。
『僕のこと…、好きですか?嫌いですか?』、そう聞いた僕でしたが、結果的に彼女を悩ませるものだと聞いたことに反省をします。
しかし、『好きになったから、困ってるんでしょ~?』と当たり前のように返事を返して来たのです。
そして、『お兄さん、私みたいなおばちゃんとセックスとか出来る?』と聞かれ、『たぶん…。』と答えてしまいます。
しかし、それはとても失礼な言葉でした。佐久間さんなりに思い切ったお誘いだったのに、僕は『たぶん。』といういい加減な返事をしてしまったのです。
『しまった。』と後悔をしました。それでも彼女は、『おばちゃん、だらしのない身体よぉ~?お兄さん、それでも興奮出来るぅ~?』と聞いてくれたのです。
佐久間さんの心配は、そこでした。年齢差よりも、自分の身体を心配していました。元カレが勃たなかったのも、『自分のせい。』だと考えていたのです。
『出来ますっ!やらせてくださいっ!あなたとしたいですっ!』、もう譲れないと思い、僕はハッキリと伝えました。
それを聞いた佐久間さんは、『じゃあ、やってみようかぁ~?』と返事をくれました。お互いに、まだまだ手探りなのです。
佐久間さんがお風呂場に向かいました。お風呂場からは洗面器の音が響き、掃除をしているように思えます。
そして、ガスの点火音がすると、蛇口からは勢いよくお湯が注がれる音が聞こえて来ました。
お風呂場から出てきた彼女は慌ただしく、何度も部屋とお風呂場の行き来を繰り返します。その手にはタオルが持たれ、準備が進んでいるようです。
10分後。リビングに現れた彼女は、『先に入ってくれるぅ~?』と僕に告げました。一瞬、『一緒じゃないのか?』とガッカリもします。
しかし、僕も心の整理がまだ付きかねていたので、ここは少し安心をしていました。僕だって、女性との行為は、数年ぶりなのです。
素直に『はい。』と答え、お風呂場へと向かいます。
脱衣室で服を脱ぎ始めます。変な感じでした。ホテルではなく、他人の家の風呂に入ろうとしているのですから。
扉を開けると、そこには生活感のあるお風呂場があり、ますます他人の風呂を意識してしまうのです。
湯舟に浸かり、指で自分の股間を何度も掃除をしています。カスなど付いていない綺麗なものにしたかったのかも知れません。
脱衣室に戻ったのは15分後のこと。普段は『からすの行水』の僕ですが、やはり佐久間さんにいいところを見せようと、かなり長い入浴となりました。
下着は用意されてなく、着ていた服を着て、風呂場を後にするのです。
『温まった?』、リビングに向かうと、着替えを持った佐久間さんが声を掛けて来ました。『はい。』と答えると、代わるように彼女が風呂場へと向かいます。
しかし、その足が止まりました。『あっ!失敗したかなぁ~?』と聞かれ、『どうしたの?』と聞き返します。
すると、彼女は『お風呂入って大丈夫かなぁ~?帰って、お母さんに疑われない~?』と言葉を残し、風呂場へと消えて行くのでした。
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