柵を握っていたはずの彼女の左手。しかし、その指はもう柵には触れてなく、それどころか真っ直ぐに伸びきってしまうほどに、別の圧力を受けていました。
僕の右手の指が、彼女の指の間にねじ込まれ、更に握り締めてしまっていたからです。佐久間さんは何も言わず、その圧力を受け続けていたのです。
僕は、来た方向に目を向けました。そこはとても見通しがよく、長い遊歩道を新しく訪れる方はいないようです。
僕は握っていた佐久間さんの手を離し、スッと素早く後ろに回り込むと、今度は後ろから両手で彼女の左右の手を包み込むのです。
ただのイタズラのつもりでした。両手を握り締めて、笑って終わり。そのつもりでした。しかし、自分で思うよりも、僕は興奮をしてしまっていたようです。
僕の胸は細い彼女の背中と密着をし、知らず知らずのうちに、彼女の身体が目の前の柵についてしまうほどに押し込んでしまっていました。
そのため、バランスの悪くなった彼女は、僕に握られた手を振りほどいてまで柵を握る必要があったのです。
佐久間さんは、この状況を嫌がりました。男に迫られていることではなく、人が来れば目に触れてしまう、そんな状況を嫌ったのです。
柵を握っていた彼女の手に力が入り、その手は柵から離れようとして身体を突っぱね始めます。押された僕も、それには気がつきました。
しかし、暴れたために僅かに垂れ下がったカーディガンの隙間から、隠れていたはずの彼女の首筋が見えてしまったのです。
『ダメやってっ!』、佐久間さんはデートが始まってから、一番大きな声を出しました。きっと、誰も来ていないのを確認してのことです。
僕の唇は、『生まれて初めて味わう。』、妙な感覚を捉えていました。20歳過ぎの僕でも、数人の女性の人肌は知ってします。
しかし、この感覚は初めてのもの。肌に元気はなく、どう見ても年寄りの女性の肌に感じます。そこへ唇をあてている自分を、不思議にさえ思ってしまいます。
その興奮がなぜか抑えきれず、僕の顔は彼女の首筋へと強く押し付けられたのです。
『イヤだってぇ~!やめなよぉ~!』、本気で嫌がった佐久間さんが身体を大きく揺らし、ついに僕を振りほどきました。
そして、『あんた、なにしてるのよぉ~!』と僕を叱りつけたのです。想像以上に熱い顔を見せた彼女に、僕は少し慌てます。
あの雰囲気からこうなってしまうとは、とても想像が出来なかったのです。『すいません…。』、もうそう言うしかありませんでした。
変な雰囲気になったまま、車は走り出しました。佐久間さんもいろいろと考えているのか、口は閉じたままです。
行きこそ安全運転を心がけていた僕ですが、それを忘れてしまうほど少し荒く運転をしてしまっていたようです。
カーブで、『おぉ~、おぉ~、おぉ~、』と佐久間さんが慌てたような声をあげるまで、それに気がつかなかったのでした。
『ごめん、ごめん、』、ようやく口を開いた僕が発した言葉でした。しかし、おかげで静かだった車内に会話が生まれ始めます。
『どうしたんよぉ?おかしかったよぉ?』
『すいません。』
『ちょっと、ビックリしたから。』
『はい…。』
『おばさんになんか、変な気起こさんのっ!』
『はい…。すいません…。』
残念ながら、せっかく生まれた会話は楽しいものにはなりませんでした。あとで分かることですが、佐久間さんはかなりの説教好き。
僕もその餌食となり、帰るまでの約一時間、彼女に対して変な気を起こしてしまった僕は、その説教を聞き続けることになったのです。
『今日はありかとう。いろいろ言って、ごめんなさいねぇ。』と謝られもしましたが、家に帰ってもやはりしたことの重さを痛感してしまう僕でした。
『やれやれ。』といった感じのデートも終わり、僕と分かれた佐久間さんは着替えをするために、自分の寝室へと向かいました。
ダムを見ていた時に、柵に押し付けられたことで少し汚れてしまったカーディガンを脱ぎ、同じく少し汚れたストレートパンツも脱ぎました。
普段であれば、外から帰ってきた彼女は、その足で風呂場へ向かい、身体をシャワーで流します。しかし、この日の彼女はそんな気持ちにはなりませんでした。
5分後…。彼女の寝室にある大きな化粧鏡は、ベッドに横たわった彼女の姿を映し出していました。彼女はお風呂ではなく、ベッドへと倒れ込んだのです。
すぐに、丸め込んだ身体からは上下の下着が剥ぎ取られ、そしてまた身体を仰向けにして、ベッドに倒します。
そして…。
『お兄さん…、』
そう呟いた彼女の指先は、ガマンが出来ずに溢れ出してきた愛液に招かれるように、自分の大切な穴へと滑り込んで行くのでした。
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