私は急いで洋服ダンスから分厚めのワンピースを取り出し頭からすっぽりと被ってインターフォンのモニターを確認しにいきました。
モニターには町内会長さんである鈴木さんが写っていました。鈴木さんは昨年定年を迎えられて今年から会長さんを引き受けていました。
見た目はまだまだ40代ぐらいに見えるほど服の上からでも十分に身体が引き締まっているのが分かりました。そして、何よりもそのお顔…。ジャニーズのアイドルがいいように年齢を重ねたような端正な顔立ちは主婦たちの井戸端会議でもその話題につきませんでした。
そんな鈴木さんがなぜこんな時間にうちの家に来るのかしら?
そんな疑問を持ちながらインターフォンの通話ボタンを押して返事をしました。
「はーい」
私はいつもよりも声がうわずった感じの甘ったるい声を出してしまっていました。
「ゴミ当番の件でお伺いしました。」
「ちょっと待ってください。玄関の扉開けますから。」
そう言って私は玄関にいき鍵を外して扉を開けました。
鈴木さんと初めて会話を交わしましたが、程よい低音ボイスが私の耳奥に優しく突き刺さるかのようでした。
扉を開けた私は自分がノーブラノーパンでワンピースを着ている事を完全に忘れていました。
「今週は高木さんのお家がゴミステーションの掃除当番でしたよね?今日の燃えるゴミの掃除はされましたか?カラスよけのネットが中途半端だったおかげでゴミ袋が荒らされて酷いことになっています。今から一緒に見に行ってくれませんか?」
鈴木さんの目には有無も言わせぬ迫力がそこにはありました。
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