【57】
1ヶ月程前の夜、いつもの様に幸子の家の敷地内へ忍び込んだ。
そこで、ある事に気付いた。
それは、今まで覗けなかった家の中が覗ける様になった事。
「何処だと思う?・・・台所の窓だよ。」
「あっ!」
僕は、すぐに気付いた。
台所の窓といえば、幸子が犯された時に僕が撮影していた場所だ。
幸子を犯した証拠を映像で残す為に、伊藤が僅かにブラインドを上げたのだ。
僕の反応を見ている杉浦は、怪しく笑って続けた。
これまで1度もブラインドが上がっていた事は無かった為、最初は警戒した。
何故なら、もしかすると忍び込んでいる事に気付いて罠を仕掛けているのではと疑ったから。
でも、幸子の扇情的な姿を覗けるならどうにでもなれと、結局淫欲には勝てずに覗いた。
ところが、幸子の姿は無かった。
晶と由英は晩御飯を食べていたが、幸子は居なかったそうだ。
すると、おかしな会話が聞こえてきた。
幸子は寝込んでる、由英が帰ってきた時にはシャワーを浴びていた、面接には行っていない。
「分かるよな・・・運動会があった日だよ。」
段々と、経緯が明らかになってきた・・・。
異変を感じながらもその日は帰ったが、翌日の夜も杉浦は敷地内へ忍び込んだ。
そこで、幸子の姿を発見。
「とりあえず、1発抜いたよ。
幸子は俺に気付いていない、エロい顔も身体も見放題なんて最高だよな。」
しかし、幸子の表情が冴えない事に違和感を感じた。
幸子を見かけたときはいつも勝ち気な表情だったが、そこで見た幸子は弱々しかった。
その後、何日も幸子を覗きに行ったが相変わらず表情は暗い。
杉浦は、幸子の身に何かあったのではと推測した。
様子が変わったのは、運動会があった日から。
晶と由英の会話で聞いた、幸子の異変。
更に、幸子の会話の中で僕が最近遊びに来ていない事を知り、それも気になった。
杉浦は、僕も何か関わっていると疑っていたらしい。
「運動会の日、幸子が面接に行くって事は晶から聞いてたけど、結局その仕事も断ったらしいじゃねぇか。
いよいよ何かあるって疑うしかねぇよな。
それで一昨日の土曜日の夜・・・お前が伊藤の家から出てくる所を見たんだ。」
一昨日の夜も、幸子を覗いていたらしい。
その帰り道、僕を目撃した。
以前から、伊藤の存在は杉浦も懸念していた。
何故なら、幸子を偶然見かけた時に伊藤の姿もあり、その伊藤も幸子に浴びせる視線が卑猥だったから。
幸子の異変の原因が僕と伊藤にあると直感した杉浦は、僕に接近したというわけだ。
そして、僕が持っていたディスクを見つけた。
そのディスクに何かあると読んで、杉浦は探りを入れた。
「お前は、晶から借りたって言ってただろ?
だから、あの後で晶に連絡したんだ。俺にも貸してくれって。
そうしたら、晶は知らないって言うじゃねぇか。
・・・もう、確信したよ。」
杉浦は、どんどん解き明かしていく。
「問題は、ディスクの内容を確認する方法だ。
直接お前に確認する事も考えたけど、どうせしらばっくれると思った。
だから、盗む事にしたんだ。
何でディスクの在りかが分かったのか、不思議だろ?
お前、エロ本とか大事な物を机の引き出しに隠す癖があったよな。
で、引き出しを開けたら本当にあったから盗んですぐに帰ったってわけだ。」
迂闊だった、僕の癖を杉浦に見抜かれていた事をすっかり忘れていた。
墓穴を掘るとは、こういう事を言うのだろう。
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