【56】
晶の部屋に移動してからも、幸子の事が頭を離れなかった。
すぐにでも幸子の姿を眺めたくなり、ある企みを考えついた。
それは、トイレに行くフリをして居間にいる幸子を視姦すること。
トイレの場所は最初に晶から聞いていたので、途中に居間があるのは知っていた。
確かに、杉浦がトイレに向かった事は僕の記憶にもある。
しかし、居間に幸子の姿は無かったらしい。
仕方なく晶の部屋へ戻ろうとしたがある物を発見し、立ち止まった。
それは、居間に干していた幸子の下着だった。
その当時を思い出したのか、杉浦は卑猥な笑みを浮かべている。
「・・・今でも覚えてるよ、白いブラジャーとパンティー。
晶が3人家族で女は幸子だけって聞いてたから、幸子の下着に間違いないって確信したんだ。
あれは興奮したなぁ、我慢出来なくてすぐ嗅いじまったぜ。」
杉浦の笑みは、更に不気味になっていく。
「幸子の下着なんか見ちまったら、そりゃあ嗅ぐだろ?
・・・もう、無我夢中だった。すげぇ勃ったから、驚いたよ。
まだ中1だったけど、こんなに勃つかってくらい勃起したぜ。
それで我慢出来なくなった俺は、ズボンとパンツを下ろそうとした。
・・・で、そこを幸子に見られたわけだ。」
「えっ?」
「『何してるの!』って怒鳴り声がして後ろを見たら、幸子が立っててさぁ。
すげぇ剣幕で俺を睨んでたぜ。
思わず怯んだけど・・・あの目付きは、たまらなかったなぁ。
そのまま射精ちゃうかと思ったよ。」
杉浦は、股間を押さえながら続けた。
「幸子も、かなり怒ってたんだろうなぁ。
『今すぐ帰りなさい!』って、強引に追い出されたよ。」
ようやく、幸子が杉浦を避けている謎を解明した。
そして、それはやはり下劣な行為が原因だった。
幸子からすれば、いくら息子と同い年の中学1年生であっても自分の下着を嗅いでいる姿は異様で不気味だったのだろう。
いや、そもそも当時から中学生離れした見た目や近づき難い雰囲気が杉浦にはあった。
幸子は、既に淫獣と見抜いていたのかもしれない。
「それから、1度も幸子の家に行ってねぇなぁ。
晶に言ってもはぐらかすし、幸子が俺を拒んでるってすぐに分かったよ。
・・・だから、覗く事にしたんだ。」
「えっ・・・覗くって?」
「その言葉の通りだよ。
あれから、俺は何度も夜に忍び込んで覗きに行ってたんだ。」
まさか、杉浦も伊藤と同じ淫劣な行為を行っていたとは思わなかった。
「まぁ覗くっていっても、カーテンは全部閉まってて家の中は見えなかったけどな。それでも、幸子の声は聞こえた。
まさか俺が外から聞いてるなんて思いもしないだろうって考えたら、興奮したぜ。」
伊藤からは、杉浦の事を何も聞いていない。
幸子の家を覗きに行っても、偶然鉢合わせる事は無かったのだろう。
しかし、幸子の周りを常に淫獣達が彷徨いていたなんて・・・。
杉浦に至っては約5年間、ろくに幸子の姿も見なかったのに執拗なストーカー行為に及んでいたのだ。
幸子に対しての異常な執着は、伊藤に負けず劣らず相当なものだ。
だが、そんな杉浦に状況が一変する出来事があった。
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