【25】
僕は、また携帯電話を取り出すと再び用意していたメールを晶に送った。
その内容は、もう待ち合わせ場所には居ない、既に○○の家に向かったから晶も早く来い、というものだ。
これは、晶が家に戻ってこない様にする為の念入りなメールだった。
伊藤が企てた計画は用意周到で、抜かりがない。
「全く、本当にけしからん奴ですな。
もしも近所の連中の仕業だとしたら、奥さんの身も危険だ。」
幸子は、この話をほじくり返されたくない様だ。
明らかに嫌悪感を示し、伊藤の言葉にも反応しなかった。
しかし、伊藤は目も合わせない幸子を相変わらず視姦し続けた。
先程より、伊藤の鼻息が荒くなっている。
徐々に伊藤の様子が変わりはじめている事に、僕は気付いた。
幸子の豊乳に卑猥な視線を送っていると、伊藤は次の行動に出た。
飲み干した紙コップに偶然手が当たった様に見せかけ、床に落としたのだ。
「あぁ、失礼。」
伊藤は、紙コップを取ろうと屈んだ。
だが、もちろん狙いは別にあった。
テーブルの下に隠れたのをいい事に、今度は幸子の肉感的な下半身を視姦しはじめたのだ。
スカートは、立っていれば膝が隠れる位の長さがあるが、椅子に座ると膝頭が見えるほど丈が短くなる。
それに2人は向かい合っているが、僕の角度からは横を向いた状態で見えている。
椅子に座る幸子の肉尻から太ももにかけての肉付きは、横からだと顕著に確認出来るのだ。
幸子の豊満な身体を一際主張しているのが、下半身かもしれない。
もちろん豊乳も言わずもがな、だ。
とはいえ、正面からでも幸子の肉付きは十分に堪能出来る。
ストッキング越しのムッチリした生足は、至近距離からだと刺激的だろう。
更にパンティーはさすがに見えないだろうが、その先に隠れている秘部が目の前にあるのだ。
伊藤の目が血走り、釘付けになるのも無理はない。
顔を上げた伊藤の表情は明らかに興奮状態で、幸子に送る淫らな視線もこれまで以上だ。
幸子にとっての地獄が、既に秒読み段階に入っている事を物語っている。
それに伴って、伊藤の言動も過激なものになっていった。
「・・・でも、下着泥棒の気持ちも分かるなぁ。」
「えっ?」
幸子は、初めて伊藤の顔を見た。
聞き間違いをしたのか、とでも思ったのだろう。
しかし、伊藤は続けた。
「奥さんの様ないい女の下着、男なら盗むのは当然だ。
全く、旦那が羨ましい。
私なら・・・毎晩でも抱きたい位だ。」
「あっ、あなた何を言ってるの!?」
幸子は、自身を視姦する伊藤に怒鳴りつけた。
それは、当然の反応だ。
こんな発言、幸子からしたら許せるはずがない。
しかも、自身に浴びせる淫らな視線は耐えられるものではないだろう。
ましてや2人きりという状況なら、尚更強気にならなくてはと思うのかもしれない。
だが、伊藤はそんな幸子をも楽しんでいる様だ。
本当は恐怖を感じているにも関わらず、気丈に強気な態度をとる幸子に、伊藤の持つ嗜虐心が疼いているのだろう。
「・・・いやいや、奥さん誤解です。
今のはあくまで下着泥棒ならそう思うはず、という事ですよ。」
伊藤は悪びれる様子も無く、下品な笑い声で言い放った。
もちろん、幸子はそんな言葉を信じるつもりはない様だ。
「お帰りください!」
「あれ、怒らせてしまったかな?悪気は無かったんですがねぇ。
でも・・・怒った顔の奥さんも素敵だなぁ。」
伊藤の小馬鹿にした言動に、幸子は再び怒鳴ろうとした。
また幸子の怒声が響く、僕は覚悟した。
しかし、伊藤はそれを寸前で制止した。
「いや今のは冗談です、冗談。少し調子に乗りすぎました。
・・・それにしても、本当に立派な家ですねぇ。」
伊藤は、わざとらしく幸子の機嫌をとろうとした。
「ほぅ、そこは居間ですか。
家族団欒の場、というわけですな。」
僕の位置からでも、居間が見える。
普段は台所と居間はスライドドアで仕切られているが、暑い時期は開けっ放しにしているのだ。
だが、開けっ放しにしていた事が幸子にとって仇となってしまうのだった。
「ん~、羨ましいなぁ。
本当に私の家とは大違い・・・。」
突然、伊藤は固まった様に一点を凝視した。
それは、まるで獲物を見つけた獣と同じだった。
一体、何を見ているのだろう。
僕も、伊藤の視線の先に目をやった。
その視線の先にある物に気付いた瞬間、僕は納得した。
居間の天井付近、そこには室内用の物干し竿が備え付けられていた。
そして、その物干し竿には洗濯物が吊るしてあったのだ。
男性用の服もあれば、幸子のであろう女性用の服が何着も干してある。
しかし、伊藤が見つけたのはそんな物ではない。
室内干しとはいえ、一応は内側に干している。
でも、僕と伊藤が見逃すはずがなかった。
レモン色でシルク素材のブラジャー、グレーでコットン素材のパンティーが無防備に干してあったのだ。
牧元家に女は幸子1人、何よりその下着には見覚えがあり僕が自慰行為の時に何度も使用した。
つまり、それは間違いなく幸子の下着だ。
※元投稿はこちら >>