【162】
「あれ、おかしいなぁ。
何処に置いたんだっけ?」
杉浦の口調が、何だか白々しい。
それに、家の中を歩き回っているのも疑問だった。
客間の隠しカメラを回収したなら、もう探す必要は無いはずだ。
ただ焦らし、幸子の様子を楽しみたいだけの可能性もあるが・・・。
その間、僕は周りを一切見ずに食べていた。
「あぁ、あった。
こんな所にあったのか。」
また白々しい言葉だが、これで彷徨く事も無いだろう。
しかし、僕は杉浦の手に持っている物が気になった。
先程まで手ぶらだったのに、いつの間にかビニール袋を持っていたのだ。
しかも、大量の何かが袋の中に入っている。
白い袋なので中身は確認出来ないが、まともな物ではないだろう。
何故なら、幸子はその袋の中身を知っているからだ。
幸子の嫌悪感に包まれた表情が、全てを物語っていた。
とはいえ、これで杉浦も帰るに違いない。
早く杉浦と野田が、幸子の目の前から消えて欲しかった。
「よし、帰るか。
じゃあな洋太、近い内に連絡するよ。
・・・おばさん、またお邪魔しますね。」
卑猥な視線で幸子に話し掛け、杉浦は台所を出て玄関に向かった。
すると、由英も丁度戻ってきた様だ。
今思えば、隠しカメラを回収する為に由英を外へ追いやったのかもしれない。
「おぉ杉浦君、車は異常無さそうだぞ。
もし不安だったら、俺の車を貸そうか?」
「いえ、何ともないなら大丈夫です。
それに、おじさんにはもう贅沢過ぎるくらい貸してもらってるんで・・・。」
杉浦の声が、台所にも聞こえていた。
何に対してかは、幸子も察しているだろう。
「何の話か分からないけど、宜しく頼むよ。
昨日、野田町長が君の事を褒めてたからな。
気に入られたら褒美でも貰えるんじゃないか、ハハハッ。」
「・・・そうですね。
楽しみだな、本当に・・・。」
そう言って、杉浦は牧元家は後にした。
とりあえずではあるが、幸子の険しい表情も和らいだ。
僕も、早く帰った方がいい。
幸子を、由英と2人きりにさせるべきだと思った。
これから、幸子の精神的負担は益々増えていく事になるだろう。
由英と一緒の空間だけが、幸子の活力の源なのだ。
「・・・僕も、そろそろ帰ろうかな。
ごちそうさまでした。」
2人が呼び止めるのを無視して、僕はそそくさと牧元家を出た。
杉浦が、野田を脅迫するのは間違いない。
伊藤の時の様に、再び幸子を襲わせて新たな淫獣を意のままに利用するはずだ。
僕は、また幸子を守れなかった。
あの場で、助ける事が出来たのに・・・。
相変わらず、理不尽な奴だと自分でも思う。
後悔していながらも、僕は帰ってから野田に犯された幸子の姿を思い出した。
当然の様に、大量の精液を放出したのだ。
そして、数日が経った。
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