【160】
すぐに解放されるとは、到底思えない。
2人っきりになれば、時間など忘れて幸子を犯すだろう。
そう確信する言葉も、忘れなかった。
「あっ、そうそう。
ついでに、寄ってほしい所もあるんだ。
だから、少し時間が掛かるかもしれないけど大丈夫だよね、奥さん。」
幸子の表情が、再び強張ってきた。
本来なら、伊藤と杉浦に週1日ずつの2日で良かったのだ。
今日は、幸子が自由になれる予定だったはず。
それなのに、幸子は先程から犯され続けている。
今後、幸子がどの様な日々を過ごすのか考えただけでゾッとした。
「さぁ、奥さん。
早く行きましょう。」
僕には、何も出来ない。
この状況を止める者は誰も居ない、そう諦めるしかなかった。
しかし、その瞬間にまさかの救世主が現れたのだ。
遠くから聞こえていたエンジン音は鮮明になり、どうやら近くに止まったらしい。
車のドアを閉める音は、間違いなく庭からだ。
「おはようございま~す。」
聞こえてきたのは、玄関からだった。
この聞き覚えのある声を、忘れるはずがない。
昨晩の元凶を招いた淫獣、杉浦だ。
無遠慮に上がり込むと、台所へやってきた。
「おぉ杉浦君、おはよう。
どうしたんだ?」
由英が、杉浦に尋ねた。
確かに、杉浦は僕にも何も言わずに帰ったのだ。
朝に来るなんて、誰も知らされていない。
幸子と野田の驚いた顔が、その証拠である。
更に、杉浦が意外な一言を発した。
「えっ、どうしたって町長を迎えに来たんですよ。」
「何だと!?」
野田は、思わず声を荒げた。
当然の反応だろう。
幸子に車で送らせる名目で、この後も独占するつもりだったのだ。
「そんな事を頼んだ覚えは無い!!」
とんだ邪魔が入り、野田は苛つきを隠せない。
だが、2人の関係性には大きな差があった。
「何を言ってるんですか。
朝に迎えに来てくれって言った事、忘れちゃいました?
それとも、本当に覚えてないんですか・・・昨日の夜に何をしてたか。」
野田に目配せする杉浦。
すると、野田は急に口籠もってしまった。
何故なら、昨晩の淫劇を知っているのは被害者である幸子、そして淫攻へと導いた杉浦の2人だけだと野田は思っているからだ。
僕と由英は、寝ていて何も知らなかった事になっている。
幸子も、自ら犯された事実を暴露するとは考えられない。
そうなると、野田にとって脅威なのが杉浦だった。
野田は、杉浦にとてつもない弱味を握られているというわけだ。
※元投稿はこちら >>