【20】
1週間前、洗濯機の中で艶かしい品格を放っていた脱ぎたての茶色のブラジャーとパンティー。
しかも、おびただしい量の精液が付着している。
あの後、伊藤が何度も好き放題弄んだのだろう。
僕も確認したが、濃厚な白濁色の精液が茶色の下着を侵していた程だ。
それに、何といっても臭いがきつい。
伊藤の精液は、濃厚で悪臭が漂う汚濁液だったのだ。
そんな物を見せられては、幸子が驚くのも当然だ。
「その様子だと、やはり奥さんの物で間違いない様ですな。」
伊藤は自身の犯行である事をおくびにも出さず、幸子に尋ねた。
「・・・あなたっ、どうかしてるわ!!」
晶が家にいるにも関わらず叫んでしまう程、幸子は平常心を失っている様だ。
証拠は無くても、幸子には伊藤の仕業以外考えられないのだろう。
これまでの伊藤の様子や振る舞いを見れば、伊藤を疑うのも無理はない。
「いやいや、ちょっと待って下さい。
もしかして、私を疑ってるんですか?」
伊藤は、ぬけぬけと白を切るつもりだ。
「何故、私がこんな事をしなければいけないんですか?
証拠はあるんですか?」
伊藤は、更に畳み掛けた。
「まさか、私が奥さんに好意を寄せているとでも?
それはいくら何でも、ちょっと自惚れ過ぎじゃありませんか?
私は只、これが奥さんの物なら奥さんが困ると思って善意で訪ねたまでですよ。」
本当は、幸子に異常な淫欲を抱いている事など微塵も出さず、平気で嘘をついた。
「それに、もし私が奥さんにそんな感情を抱いているとしたらわざわざ持ってきませんよ。
・・・せっかく手に入れた奥さんの下着だ、手放すわけがない。」
幸子に淫らな視線を送りながら、伊藤は嘘にまみれた言葉を続けた。
「恐らく下着を盗んだのは、奥さんに良からぬ感情を抱いている者の仕業でしょうな。
でなければ、こんな状態になるまで弄ぶなんて出来ない。
・・・意外と、近い存在の仕業という事もあるのでは?」
伊藤は隠れている僕に目をやり、ほくそ笑んだ。
幸子は、まだ伊藤を怪しんでいる様だ。
だが、どうやら諦める事にしたらしい。
やはり証拠が無い以上、伊藤を問い詰めるのは無理だと判断したのだろう。
それに、この下着が無くなったタイミングに幸子が気付いているとしたら、伊藤に盗める方法は無いという結論に行き着くはずだ。
「・・・分かりました。疑って申し訳ありません。
わざわざお越しいただいて、ありがとうございました。
これは、こちらで処分いたしますので。」
伊藤に早く立ち去ってほしいからか、幸子は勝手に話をまとめて終わらそうとした。
しかし伊藤は、このまま終わらせるつもりは毛頭ないのだ。
「あれっ、まさかこのまま帰らされちゃうのかな?」
「えっ?」
「いや~私ね、本当は奥さんに届けるかどうか迷ってたんですよ。
だって、奥さん私の事あまり良く思ってないでしょ?
それでこんな物を持ってきたら当然、私を疑うに決まってる。
だから、最初は迷いました。
でも、このまま道端に置いていたら奥さんに変な噂が立つと思って。
この辺、噂好きのおばさんばかりでしょ。
それで、疑われるのを承知で届けに来たんですよ。
いや、もちろん恩を仇で返されたなんて言いやしませんがね。」
恩着せがましいのは、言うまでもない。
幸子は、怒りを抑えて問い掛けた。
「では、何がお望みでしょうか?」
「いやいや、望みなんてそんな・・・。
しかし、今日は暑いですなぁ。
・・・それじゃあ、水分補給でもさせてもらおうかな。」
「水分補給?」
「えぇ、こんな日に外を出歩いたもんだから喉がカラカラでね。」
伊藤の要望に困惑した表情を浮かべた幸子だが、どうやら仕方なく呑む事にした様だ。
これも、伊藤を早く帰す為だろう。
「分かりました。
今、持ってくるので少々お待ちください。」
「えっ、まさかここで飲めと?玄関で?」
「・・・では、どうしろと?」
「うーん、客人は家に上げて持て成すものだと思ってたんでね。
あっ、これはあくまで私の常識ですのでお気になさらず。」
幸子は、挑発的な発言に一瞬乗りかけたが、止めた様だ。
こんな男に常識を語られるのは屈辱だが、伊藤のペースに飲まれるのは幸子のプライドが許さないのだろう。
そんな幸子に、伊藤は思わぬ言葉をかけた。
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