【150】
精力が尽き果てた、そんな状態だろうか。
ただ、表情は憎らしい程の満足感で溢れていた。
由英の横で寝ているのも、どこか勝ち誇っている様に見える。
一体、幸子をいつまで凌辱したのだろう。
寝室での様子だと、すぐに解放したとは思えない。
恐らく、幸子は開放されて間もないはずだ。
もしかすると、まだ寝室に居るかもしれない。
あれだけの淫攻を受ければ、立ち上がれなくても不思議ではないと思った。
しかし、僕はある事に気付く。
寝る前まで室内に染み付いていた汚濁液の悪臭が、消えていたのだ。
更に汚濁液の形跡はもちろん、テーブルの上に残っていた食器なども全て片付けられている。
昨晩行われていた悪夢の様な出来事が、本当に夢だったのではと思わせるほど元通りになっていた。
こんな事をする人物は、1人しかいない。
由英と僕に昨晩の淫劇を知られるのは、絶対に阻止したいだろう。
ほんの少しでも、不自然な形跡は残したくないはずだ。
ひょっとすると、既に気丈に振る舞う用意をしているのでは・・・。
僕は、もっと範囲を広げて探した。
(・・・・・あっ!!)
目が止まったのは、ここから直線の場所だ。
客間を出て居間を抜けた先の台所に、その人物は居た。
後ろ姿だけで、誰かは一目瞭然である。
茶褐色の髪、類い稀な極上の肉付きは、幸子で間違いない。
だが、僕は僅かな変化を見逃さなかった。
幸子の髪型が、綺麗に整っていたのだ。
昨晩、最後に幸子を見た時には汗で髪もベタついていた。
あんなに凌辱されたら汗をかくのは当然だが、だとすればまだボリューム感は失ったままのはずだ。
それなのに、今の幸子の髪にはベタつきが無い。
緩やかなウェーブが掛かり、ボリューム感のある茶褐色の髪型は、まるで事実を隠したい隠蔽工作の様だった。
もちろん、髪だけでなく汚された身体中を洗い流しただろう。
でも、他にも気になる事があった。
下着は、どうしたかだ。
服装は、白のTシャツと濃いめのジーンズと黒のエプロンで昨晩と変わっていない。
しかし、下着は僕の精液で汚れてしまったのだ。
幸子は気付いただろうし、それなら穿くわけがない。
ましてや、野田の仕業だと思い込んでいれば尚更である。
恐らく、新しい下着を身に付けているだろう。
幸子は、何事も無かったかの様に僕達に接するつもりだ。
さすがに気が咎め、心苦しい。
すると、何やら気配を感じたのか幸子はこちらを振り返った。
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