【123】
「もっ、もちろん何度も諦めようと思ったさ。
お前の言う通り、私には妻子が居て罪を犯すわけにはいかないんだって。
それに、あの時はお前もまだ若かった。
歳を重ねて30代にもなれば、さすがにその美貌も老いてくるだろうと思ったんだ。
・・・なのに、お前は老いるどころか益々魅力的な女になっていく!!
幸子、お前を手に入れたい思いはどんどん強くなっていったよ!!
・・・全く、罪深い女だ。
こっちは諦めるつもりでいたのに、何度も誘惑しやがって。
家族が居るのに、こんな事をするなだって?
ふざけるな、悪いのは全部お前だ!!
おっ、お前が私を狂わせたんだろうが!!
ハァ、ハァ、ハァ・・・そっ、その責任はしっかり取ってもらうからな!!」
野田はそう言うと、また幸子の首筋や唇、顔全体にまで不潔な舌を這わせた。
理不尽すぎる経緯で、幸子には何の罪も無い。
僕も、頭の中では理解出来る。
でも、野田の身勝手な感情を否定する事も出来なかった。
幸子に対して、理性など皆無なのだ・・・。
「そっ、そんなの只の言い掛かりじゃない!!
ん゛っ!!・・・あっ、あなたは最低な人だわ!!
・・・・・主人は、あなたを尊敬してたのよ!!」
由英が野田を慕っているのは、僕も何となく分かっていた。
今夜の様子でもそうだったが、これまでも2人には師弟に似た関係性を感じさせたのだ。
由英は野田土木興業では古株だし、野田の右腕の様な存在でもあったのだから慕うのも当然だろう。
近くでそれを感じていた幸子にしてみれば、野田の行動は夫に対する裏切りでもあるわけで、許せない想いは計り知れない。
だが、淫獣には伝わるはずがなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・それがどうした!?
雇ってやったんだから、感謝するのは当然だろ!!
・・・・・こいつは、よくお前の話をしてたよ。
しかも、ノロケ話ばかりだった。
・・・私の気持ちも知らずになっ!!」
「いっ、嫌・・・気持ち悪いわ!!
はっ、放してっ!!」
野田は、幸子の耳穴へ舌を捩じ込んだ。
幸子の悲鳴が、家中に響いている。
すると、野田は卑劣な言葉で幸子を苦しめた。
「ハァ、ハァ・・・そんなに声を出していいのか、幸子?
お前も言ってただろ。
いくら睡眠薬を飲まされたからって、この距離で騒げばさすがに起きるかもしれんぞ。
今の状況を、こいつが見たら・・・どう思うかな?」
弱味を付け込まれ、言葉を失う幸子。
野田は、幸子が一番避けたい状況を利用したのだ。
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