【119】
「・・・だっ、駄目よっ!
主人が起きたら、どうするの!?」
何とか杉浦の淫計を止めようと、幸子は説得を試みた。
確かに由英が目を覚ます可能性は十分あるし、幸子にとって1番回避しなければいけない状況だ。
酔い潰れている程度では、いつ起きるか分からないのだ。
すると、一度は傾きかけた野田も幸子の言葉で事の重大さに気付いたらしい。
「あっ・・・あぁ、そうだ!
彼とは何度も酒の席で飲んでるが、酔い潰れた事は無いんだ!
そのうち、目を覚ますぞ!」
由英が起きてしまえば、計画は台無しになってしまう。
杉浦の嗜虐性を考えれば、由英に敢えて幸子との関係を暴露するという可能性もある。
だが、それは杉浦にとって得など一切無いのだ。
幸子が警察に行かないのは、家族に知られたくないのが1番の理由に違いない。
ところが、由英に全てをバラせば警察に通報されるのは確実だ。
幸子を利用するのはもちろん、幸子を犯す事が出来なくなるのは杉浦が最も避けたい現実なのだ。
杉浦にしては、粗末な計画だと言わざるを得ない。
しかし、僕はまだ淫獣を侮っていた事に気付かされたのだった。
「ハハッ、そんな事を気にしてたんですか?
旦那は起きませんよ、絶対に・・・。
何故かって言うと、酒の中に睡眠薬を混ぜて飲ませたんでね。」
「何ですって!?」
「・・・・・。」
「しかも、実は2回飲ませちゃったんですよ。
最初は他の奴らが帰る前に酒を注いだ時、コップの中に入れました。
その後トイレに行って、皆も帰ったし旦那もそろそろ寝ただろうと思って戻ってきたんですけど、まだ起きてたじゃないですか。
あぁ・・・2、3錠飲んだ位じゃ全然効き目が無いんだなぁって。
だからまたお酒を飲ませて、その時に睡眠薬を混ぜたんです。
・・・今度は10錠ぐらいね。」
「そっ、そんなに飲ませるなんて異常よ!!
もしもの事があったら、どうするつもりなの!?」
「大丈夫だよ。
それぐらいじゃ死なないって、ちゃんと調べたから。
でも、しばらくは起きないだろうなぁ。
・・・・・町長、これでもまだ何かありますか?
あっ、ちなみにそこで寝てる奴にもかなり酒を飲ませました。
さっき起きるか試したんですけど全然反応が無かったんで、当分は起きませんよ。」
寝てる奴とは、僕の事だ。
「さぁ、もう何も心配いりません。
幸子を、たっぷり味わってください。」
確かに、わざわざ由英に酒を注いでいたのには他の狙いがあると思ってはいた。
まさか、睡眠薬まで用意していたとは・・・。
これで、本当に幸子を犯す為の障害は無くなったといっていい。
だが、野田の態度は未だに煮え切らず躊躇っていた。
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